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Column 技術屋の解説

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2021.03.17

鉄はなぜ錆びるの?

鉄はなぜ錆びるのでしょうか?

鉄の原料である鉄鉱石は、主に鉄と酸素からなる化学的に安定した酸化物として自然界に存在しています。この鉄鉱石から酸素を分離してできた鉄は化学的には不安定で、温度と湿度の影響を受けて安定した元の酸化物に戻ろうとします。この酸化物が錆と呼ばれるものです。鉄が錆びるには酸素と水の両方の存在が必要となります。

鉄はなぜ錆びるか?

鉄片を「乾いた空気中」に置いたままにしても錆びないのは水が存在しないためであり、「あらかじめよく沸騰させて水中の空気を追い出しておけば」水中に浸した鉄片が錆びないのは酸素が存在しないからなのです。

鉄はなぜ錆びるのか

鉄(Fe)は、(1)式に示すように水に接するとイオン化(Fe2+)して電子(e)を放出して水に溶け込みます。鉄から放出された電子は(2)式のように水中の溶存酸素に消費され、水酸化物イオン(OH)の生成に寄与します。
 この水酸化物イオンは(3)式に示すように鉄イオンと反応して水酸化鉄(Ⅱ)(Fe(OH)2)の白濁物となり、(4)式のようにさらに酸化されて水酸化鉄(Ⅲ)(FeO(OH) ・ nH2O)の赤褐色の沈殿となります。この沈殿がいわゆる赤錆といわれるものですが、非常にポーラスな状態で鉄表面に生成するため下地の鉄を保護する作用が乏しく、酸素と水が供給されるかぎり錆は進行してゆきます。

= 大気中の鉄と湿度の関係 =

鉄が錆びるために酸素と水がともに供給される必要があることは前述しましたが、大気中で錆が進行するにはどのような条件が必要か考えてみましょう。
 酸素は大気中に21%(体積百分率)存在しており、特殊な環境でなければ地球上のどこにでも十分あります。しかし、水の存在量は土地によっても、また時によっても異なります。
 大気中の水は水蒸気として存在していますが、その含まれる量の尺度としての相対湿度を取り上げましょう。

 下表は大気中に含まれている水蒸気の量を示しています。飽和蒸気圧という言葉で表すこともできますが、ここではあえて1m3当たりの質量(g/m3)で表現することにしました。ちなみに飽和蒸気圧は相対湿度100%における水蒸気の量を圧力単位で示したものです。

大気中に含まれる水蒸気の量

 さて、気温が30℃と10℃のときを比較してみましょう。30℃では相対湿度100%のとき大気中には30.4g/m3の水蒸気がふくまれていますが、10℃では相対湿度100%でも9.4g/m3でしかありません。このようにおなじ相対湿度でも気温が高いほど多くの水蒸気が含まれていることが錆を考えるときに重要です。いま、含まれている量と言いましたが、言い換えると、相対湿度100%のときに含まれる水蒸気の量はその温度で含むことができる水蒸気の最大量ということになります。

 さて、30℃で相対湿度65%の大気を10℃に冷やしたらどうなるでしょう。
 30℃で相対湿度65%の大気には19.8g/m3の水蒸気が含まれていますが、10℃の大気には9.4g/m3の量しか含むことができません。19.8g/m3から9.4g/m3を引いた残りの10.4g/m3は水蒸気としては存在できず、水になってしまいます。これが結露という現象の本質です。もし、30℃の大気が湿度25 %であれば、10℃に冷えても結露しないことは表から読み取ることができるでしょう。1日の温度変化が大きいときに湿度が高いと結露の心配が大きくなりますし、気温が高いと湿度が低くても多くの水蒸気を含んでいることから結露しやすいといえるでしょう。

 結露によって水蒸気が水に変わり、普遍的に存在している酸素と共同して鉄の錆が進行することになります。ちなみに水蒸気のままであれば、鉄の錆が進行することはありません。
 以下に示したのは世界各地のクライモグラフです。温度と相対湿度の平均値を月ごとにプロットして年間の推移を分かりやすく示しています。熱帯地方では年間をとおして高温多湿であり、非常に錆びやすい気候であるといえます。

日本及びアジア各国のクライモグラフ
温度と相対湿度の平均値(那覇、福岡、松江)
温度と相対湿度の平均値(名古屋、横浜、札幌)
温度と相対湿度の平均値(北京、西安、台北)
温度と相対湿度の平均値(チェンナイ、バンコク、KL)

結露についてもう少し説明を加えましょう。
先ほどは温度が下がることによって相対湿度が100%になると結露すると説明しました。しかし、相対湿度が100%に達しないもっと低い湿度でも結露することがあります。その要因のひとつが毛細管現象で、もうひとつは食塩など吸湿性物質の存在です。

 水は毛細管の中では平面の場合にくらべると飽和蒸気圧が低くなる性質があります。赤錆のようなポーラスなものは無数の毛細管があることと同じであり、飽和蒸気圧は70%ほど小さくなります。つまり相対湿度が約70%でも結露することになります。また、金属製品が重なり合ったり、金属製品とポリ袋が密着したときにできる隙間も毛細管とおなじように考えることができ、相対湿度が100%に達しなくても結露する可能性があります。

 もう一方の吸湿性物質の存在について言うと、食塩の付着面では約78%となり、除湿剤としてひろく利用されていいる塩化カルシウムの付着面では何と35%という低湿度で結露してしまします。

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= 鉄表面への気化性防錆紙の吸着機構 =

鉄表面への気化性防錆紙の吸着機構

= 鉄表面への防錆皮膜の形成 =

鉄表面への防錆皮膜の形成

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