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2021.05.10

「第3回」なぜ錆(さび)が生じるのか?【酸化と還元について】

正しい用語として、『錆(さび)は鉄のみ』、『腐食(ふしょく)は鉄を含めた金属全般』に用いますが、この記事では読みやすくするため、「錆(さび)」で統一しています。また、正しくは、『○○分子』や『○○原子』とすべきところもありますが、読みやすくするために『○○』とさせていただきます。

この世の理(ことわり)として、『物体はより安定した状態へと変化』します。常温の水を冷やせば0°Cで氷(液体から固体)になり、加熱すれば100°Cで水蒸気(液体から気体)になります。一般的な生活環境で「100°Cの氷(水の固体)」は存在しません。その理由は、水にとって100°Cで氷の状態(水の固体)は不安定だからです。また、山の頂など標高の高い場所では、水が100°C以下で沸騰します。それは気圧が下がった影響によって、水が100°C以下で沸騰(水の気化、水蒸気)する方が安定するためです。

では、なぜ金属が錆びるのか。単純なことで、「不安定な(錆びていない)状態だから安定な(錆びた)状態に変化する」ということです。その不安定な状態の金属にニーズがあるため、我々研究者は防錆処理/防錆包装の研鑽を積んでいます。

ここで、鉄を例に挙げて説明いたします。

鉄は自然界で鉄鉱石(鉄にとって安定な状態)として存在します。硫化鉄という状態の鉄も多く存在しますが、話が複雑化しますので今回は省きます。鉄鉱石を単純に言えば「錆の塊」です。錆は主に「鉄 + 酸素」でできていますので、「酸素」を除去することで「鉄」が残ります。ただ、先ほどから述べているように、鉄そのものは自然界では不安定なため、空気と反応して錆の状態(鉄にとって安定な状態)に戻ろうとします。

 錆になる反応は、「酸化反応」と「還元反応」を組み合わせた「酸化還元反応」です。この酸化反応および還元反応は、片方だけが起こる反応ではありません。必ず両方起こります。

「酸化」と「還元」の定義は、下記の通りです。

鉄の酸化反応と還元反応は、下図のようになります。

生じた鉄イオン(II)1個と水酸化物イオン2個が結合することで、水酸化鉄(II)ができます。これがさらに反応して水酸化鉄(III)となるのが、お馴染みの『赤錆』です。

単に「鉄の錆」と言っても、「水酸化鉄(II)」や「オキシ水酸化鉄」「四酸化三鉄」など、金属が置かれている環境によってできる物質が異なり、その性質(色など)も異なります。

次回担当の5回目では、「錆のニオイ」について解説いたします。

【 細 川 】

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