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Column 技術屋の解説

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2014.08.11

第14回/全17回 防錆紙の正しい使い方①

前回までは防錆油や防錆フィルムについていろいろと述べてきましたが、今回からは、いよいよ防錆紙に焦点を当てましょう。

防錆紙とは金属が腐食するのを抑える機能を備えた包装紙だということはご存知ですね。ここでは技術内容を一通りご覧になったことを前提にお話を進めます。

私は防錆紙を使っているユーザーに数多く接してきましたが、その中でもっともよくみられた誤りは、その防錆紙がどのような金属を対象としているのかきちんと理解していない場合でした。防錆紙ならばどんな金属にも効果があると信じている人がまだまだ多いと感じています。残念ながら、鉄鋼に優れた防錆力を示し、銅や亜鉛などへの悪影響がまったくないという性能をもつ防錆紙は存在しません。逆に、銅用の防錆紙は鉄鋼に対する防錆力が充分とは言えません。つまり、どんな金属にも使える万能な防錆紙は存在しないということなのです。誤った使い方をしてしまいがちなのは、複数の種類の金属が共存するアセンブリー製品を包装する場合です。どのような金属が共存しているのか確認しないままに使用すると、予期しない腐食に見舞われてしまう恐れがあります。

私がよくお話しするたとえばなしを紹介しましょう。

市販の殺虫剤や防虫剤は、やっつける虫に対して誤ったものを使ったとしても、効果が無いだけであって虫の成長を促進したり増殖させることはありません。しかし、防錆紙では殺虫剤などのようにはいきません。誤った使い方をすれば、錆を助長することにつながってしまいます。

予期しない腐食に見舞われてしまった事例を二つ紹介しましょう。

一つ目は亜鉛めっき鋼板に関するものです。

亜鉛めっき鋼板でつくられた製品に赤錆が生じたので、その対策に防錆紙の使用を考えたとしましょう。赤錆は鉄の腐食なので、鉄鋼用の防錆紙を使ったとしましょう。その結果、製品に赤錆は発生しなくなるでしょうが、亜鉛が腐食して白錆に覆われてしまうことでしょう。

二つ目は銅めっきされた鉄鋼製品の場合です。

この製品の場合、錆びては困るのは鉄鋼でしたから鉄鋼専用の防錆紙を使っていました。しかし、めっきされていた銅が見事に変色してしまう事故が、あるとき発生しました。幸い、銅は腐食にまでは至っておらず、製品の機能を低下させることはなかったのですが、見た目が悪くなって商品価値を低下させてしまった例です。

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