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Column 技術屋の解説

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2014.05.15

第13回/全17回 防錆フィルムのまとめ(防錆紙との比較)

5回にわたってお話してきた防錆フィルムのお話も今回でおわりになります。そこで今までの話のまとめとして、防錆紙と比較してみましょう。

表7に鉄鋼用の防錆フィルムと鉄鋼用の防錆紙の特徴を比較した結果を示します。防錆フィルムは練り込みタイプのもの(第8回のコラム参照)で、防錆紙はバリアタイプの気化性防錆紙を想定しています。

a~cは防錆力についての比較です。防錆フィルムの気化性防錆力が防錆紙に及ばないことは最初にお話ししましたが、接触防錆力で比較するならば、防錆フィルムと防錆紙の差は小さくなるでしょう。しかし、cに示したように、鉄鋼製品を包装して長期間保管するようなときに求められる防錆効果の持続性は防錆剤がとれほど含まれているかが関係しますから、防錆フィルムは防錆紙よりも劣ると思います。防錆フィルムに含まれている防錆剤が防錆紙よりも格段に少ない結果です。

防湿性(d)は明らかに防錆フィルムのほうが勝っていますが、その反面、包装内で結露した水を吸収する能力(e)は防錆紙にはあっても防錆フィルムにはありません。そのために、包装作業においては作業場の湿度に注意が必要であることを前回のコラムでお話しました。

f~iは素材の性質に大きく左右されて決定付けられる品質です。防錆フィルムには、ベースとして使われているポリエチレン樹脂の性質を受け継いで、透明性とヒートシール性があり、塵が発生しにくい性質がありますが、腰がないために包装作業性の点では難点がつくでしょう。セルロースからできている防錆紙は防錆フィルムとは正反対に、透明性とヒートシール性がありません。また適度な腰のつよさをもっていますから包装作業性に優れていますが、塵の発生は避けられません。

最後のj~kは廃棄されるときに要求される品質です。防錆フィルムはプラスチックだけですが、防錆紙はセルロースとプラスチックの複合体です。そのためにリサイクルは防錆フィルムのほうが有利のように見えますが、そう簡単ではないことも第11回でお話したとおりです。かりに焼却するときにはプラスチックだけからできている防錆フィルムは発生する熱量が大きいために焼却炉を傷める恐れが大きくなります。

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