第12回/全17回 防錆フィルムを使うときの注意点 - 気化性防錆紙(adpack)製造販売|アドコート株式会社
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Column 技術屋の解説

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2014.04.08

第12回/全17回 防錆フィルムを使うときの注意点

前回まで防錆フィルムの性能に光を当ててお話してきました。どのような品質のものでどんな特長があるのかお分かりいただけたと思います。今回は防錆フィルムを使うときに気をつけなければいけない事柄にフォーカスしましょう。

第9回のコラムで、「防錆フィルムは気化性防錆力が弱い」とお話ししましたが、その性質があるために、金属から離して使うのは止めたほうが賢明です。ポリ袋やコンテナなどの中に金属製品と一緒に入れて包装内部を防錆剤の雰囲気にするような使い方は、しっかりした気化性防錆力のある防錆材料に限られた方法です。一般的な防錆フィルムはできるだけ金属に接触させて使うように心がけましょう。そして、ヒートシールなどでしっかりと密封することが大切です。風呂敷包みやキャラメル包装のように、単にオーバーラップさせてテープ止めしただけでは隙間ができますから、ベストな包装とは言えません。もし、包装に隙間があったら、湿った外気が入り込んだり包装の外側で結露した水が隙間を通って包装の内部に侵入して、金属を腐食させるかもしれません。

また、包装の破れや穴あきは致命傷になりやすいので、輸送中に破れないような包装方法を考え、作業手順や輸送方法も慎重に検討する姿勢が必要となるでしょう。この慎重な思慮と行動は防錆紙を用いるときの数倍の努力は必要だろうと思っています。

かりに完璧な密封ができたとしても、包装内部に残された空気の量が多いときには別な心配が発生します。それは、包装内部に取り込まれたた空気の湿度が高いときに起きます。湿度の高い空気が冷えると結露しますが、結露した水は防錆フィルムに邪魔されて包装の外に逃げられず、包装内に閉じ込められてしまいます。その水に防錆剤がある程度溶け込めば金属は防錆されますが、防錆剤の濃度が低ければ水による腐食が起きるでしょう。包装するときの環境湿度が高ければ危険は増します。防錆フィルムからどれほどの防錆剤が溶け込み得るのか、結露した水がどれほどになるのかが鍵になります。

もうひとつ注意が必要なケースがあります。それは防錆フィルムが金属に密着したときに起きる可能性があります。フィルムが金属に密着すると空気の流れが遮断されますから、酸素濃淡電池が発生する恐れがあり、腐食の原因となります。包装される金属の重さによって密着度合いは変わり、重いほど発生の確率が高くなるでしょう。

最初に「できるだけ接触させることが重要」とお話ししましたが、密着は避けるべきなのです。微妙なコントロールが求められるでしょう。ちなみに、防錆紙が密着した場合には、紙がポーラスなために酸素濃淡電池が発生することはまずないと思います。

以上のように、防錆フィルムにはいくつかの注意点がありますから、これらのことを十分に理解した上で使うことが大切だと思います。

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