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Column 技術屋の解説

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2014.03.03

第11回/全17回 防錆フィルムの防錆性能以外の品質(特長)

前々回と前回の2回で鉄鋼用の防錆フィルムの防錆性能について説明しましたが、今回はそれ以外の品質についてお話しましょう。

防錆フィルムの特長としては、防湿性が高いこととヒートシールが容易なことの2点が代表格です。さらに、練りこみタイプのものであれば透明性も特長に加わります。これらの特長については、改めて説明する必要はないでしょう。

しかし、特長はそれだけではありません。防錆フィルムには発塵性が小さいという特長があります。これは防錆紙では太刀打ちできない性質といえます。防錆紙では、紙粉の発生は避けようがありませんから、塵の発生をゼロとすることは不可能と考えてよいでしょう。それに対して、パルプでなく樹脂から作られる防錆フィルムは必然的に塵が出にくいはずです。発塵性が小さい点をもっと生かした商品開発が望まれるところです。

もうひとつ、リサイクルが容易な点を特長に挙げる考えがありますが、これについてはそう単純ではありません。

多くの防錆フィルムは基本的にはポリエチレン樹脂から作られていますから、プラスチック製品にリサイクル利用されるのは比較的容易といえるでしょう。しかし、再びポリエチレンフィルムの製造に使用されることはまずありません。公園などでよく見かけるプラスチック製の柵や土地の境界を示す杭などの土木用資材向けに再利用されます。フィルムではなく土木用資材に使われる理由は、防錆フィルムにはわずかとはいうものの異物としての防錆剤が混入していることと、ポリエチレンと言ってもフィルムにする過程でさまざまな助剤が使われ、それらもリサイクルの際には異物として取り除くことが必要だからです。

話が横道に逸れますが、私は土木用資材へのリサイクルは、真のリサイクルではないと考えています。役目を終えたこれらの土木用資材は廃棄することになりますが、再びプラスチックに戻すのは無理ですし、焼却するには焼却炉への負担が大きすぎます。結局は埋め立てられることになるのですが、樹脂からできた土木用資材は自然界で分解して土に戻ることはありません。元のプラスチックフィルムに生まれ変わるようなリサイクル技術が確立すれば、本当のリサイクルと言えるでしょう。

話を元に戻しましょう。

防錆フィルムには、基材としてポリエチレン樹脂を用いているために得られた柔軟性があります。この柔軟性を生かした用途開発も可能と思われます。近年ストレッチタイプの防錆フィルムも開発されていますが、ストレッチタイプほどの柔軟性が必要でない用途に、線材やスリットコイルのスパイラル包装があるでしょう。この用途に使われる防錆紙は基材にクレープ紙を用いていますが、その理由は、スリットコイルなどへのフィット性がフラットな紙では不充分なためです。フィット性が優れている防錆フィルムがこれらの分野に進出する余地は十分にあるのではないでしょうか。

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