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Column 技術屋の解説

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2021.03.20

防錆油に含まれている防錆剤の働き(1)

今回と次回に分けて、防錆油に使われている防錆剤についてお話しましょう。

防錆油が鉄鋼の錆を防ぐことができるのは、油膜の厚さや油膜の丈夫さによるところが大きいですが、防錆油には防錆剤と呼ばれる化学物質が含まれています。この防錆剤とは一体どんなもので、どんな働きをしているのでしょう。

図1を見てください。鉄鋼の表面に防錆剤が規則正しく並んでいる姿を描いたものです。このようすを、「防錆剤が鉄鋼の表面に吸着している。」と言います。もちろん肉眼で見ることなどできない非常に微小な世界です。電子顕微鏡で拡大しても見ることは困難ですが、界面化学の研究によって図のような姿であることが分かっています。

図1の中でマッチ棒のように描かれているのが防錆剤の分子です。防錆剤分子の多くは、実際にこのように細長い形をしています。マッチ棒の頭の部分(親水基と呼ばれます。)は鉄鋼と相性が良く、マッチ棒の軸の部分(疎水基または親油基と呼ばれます。)は鉄鋼との相性は良くなく、逆に油と相性が良い性質があります。このような性質があるために、防錆剤分子は鉄鋼と相性の良い親水基を鉄鋼に向けた規則正しい姿で、鉄鋼表面に吸着することができるのです。

防錆剤は、鉄鋼表面に吸着することによって、防錆油の中にわずかながら溶け込んでいる水が鉄鋼と接触するのを邪魔してくれます。ちなみに防錆油の中に防錆剤が含まれていなければ、防錆油の中にある水は鉄鋼表面に吸着して錆を発生させるでしょう。

図1 防錆剤分子の鉄鋼表面への吸着
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